“カリフォルニアワインの店なのに、なぜカリフォルニアのスパークリングは全然置かずにシャンパーニュばかりなの?”とよく言われる。カリフォルニアワインが8割を占めるのに、確かにカリフォルニアのスパークリングはたった3つしか扱っていない。
理由は、美味しくないから!
カリフォルニアの造り手が技術的に劣っているという訳ではない。しかし、あの太陽がサンサンと照りつける地方ではクオリティの高いスパークリングを造る事は非常に難しい。光合成が活発になる為、ブドウに風味が乗る前にスパークリングに必要な糖度のレベルを超えてしまうからだ。(カリフォルニアは広いのでもちろん例外はある!)
実は、シャンパーニュ地方のように北国で太陽が弱く、普通に作っては酸っぱいだけのワインしか出来ないような、ギリギリの気候でなければ高品質のスパークリングは造れないと言える。反対に、カリフォルニアが得意な濃厚なカベルネをシャンパーニュ地方で作ろうとしてもほぼ不可能だろう。つまり適材適所と言う事だ。
一言でシャンパーニュと言っても様々なカテゴリーがある。一つがブラン・ド・ブラン。
白ブドウ品種のみから作られ、一般的に最も繊細なスタイルになる。鉱物的なミネラルの風味やキレのある酸味が特長的で、ワイン作りとしてはギリギリの北国だからこその特徴が最も出やすいカテゴリーだ。このカテゴリーはカリフォルニアにもあるが、味わいのスタイルは全く別物になり似ても似つかない。
逆にブラン・ド・ノワールというカテゴリーがあり、こちらは黒ブドウのみから作ったシャンパーニュだ。味わいもブラン・ド・ブランとは対照的にふくよかでリッチな味わいになる傾向がある。特にシャンパーニュ地方でも南のコート・デ・バールという比較的暖かい地方ではより果実味が乗り酸味は穏やかになる。 この地方のブラン・ド・ノワールを好むのであれば、カリフォルニアのスパークリング(例外的にクオリティの高いもの)とも味わいの点で共通する事が多くあり、十分にお勧めする事ができる。(ただし、保守的なシャンパーニュ好きの心を開かせる事が出来ればの話しだが!)
この二つだけでなく、実はシャンパーニュのカテゴリーは他にもある。それに同じカテゴリーでもテロワールや生産者の哲学によりスタイルは多種多様だ。シャンパーニュと言えば、アペリティフとして最初の一杯というイメージが強いが、カテゴリーやスタイルにより食中酒により向いている場合も多い上に、合わせる料理も多岐に渡る。この多様性を楽しむ事がシャンパーニュの醍醐味と言えるだろう。